和歌と俳句

残菊

残菊にさめじと契る欝金香 几董

残菊や添竹はねて風のまま 素十

灯の下に生けたる菊の残り花 立子

残菊に二日三日の時雨かな 立子

残菊や虻とまり搖れ翔ちて搖れ 立子

父に似し弟一人残る菊 たかし

残菊や猛き犬吠ゆ谷戸の家 秋櫻子

残菊の庭の日向の茶の間まで たかし

残菊のいのちのうきめつらきかな 万太郎

残菊より低く病者等跼み合う 波郷

残菊に似る身の運をおもひけり 万太郎

残菊や一とあさ雨にぬれそぼち 万太郎

残菊やふたゝびめぐり逢ひしとき 万太郎

残菊や一邑毎に山迫り 秋櫻子

残菊や雲煙のぼる鶴見岳 秋櫻子

残菊や昇天の霊二十六 秋櫻子

五十年いま残菊も切り惜しむ 

残菊に朝の帚目新しく 立子

残菊や今何買いに出る我ぞ 耕衣