砂丘への登り口なる虫の宿 野風呂
砂をつかめば射す松落葉人親し 草田男
手わたす指の長さや夏の桜貝 草田男
隙を充たす三角泉幾沙丘< 草田男/p>
沙丘の泉小鳥の浴み尾もひろげて 草田男
女人一途黄沙白泉走せ渡りぬ 草田男
新古今集・釈教
山深く年経るわれもあるものをいづちか月のいでて行くらむ
秋風の急に寒しや分けの茶屋 虚子
船路より大山秋のすがたかな 蛇笏
額の花深山の秋に化けつゞく 野風呂
宿坊や楡の木の間に高嶺月 野風呂
大山の暁月夜ほととぎす 野風呂
登山道次第ほそりに暁けそむる 野風呂
山毛欅の径熔岩あらはれて已に暑し 草堂
喬木帯ゆけば夏天の鳴りいづる 草堂
死火山のからびし熔岩に汗したゝり 草堂
雲の峰死火山の膚崩れたり 草堂
熔岩灼くるしづけさ天に日は駐り 草堂
梅雨凝りてまだ真青に簷菖蒲 秋櫻子
蔓手毬雲間の杉にのぼりけり 秋櫻子
昼もなく梅雨ひぐらしや胡麻豆腐 秋櫻子
降る雪に日輪小さきスキー場 誓子