雪に埋れし待避線掘り出さず
白魚火岸の燈明くなりし代に
降る雪に日輪小さきスキー場
漉紙の悪しきは一指以て消す
薪能火の粉ついつい火を離る
耐忍の看衆吾も薪能
正月の服着崩れし紋の位置
燈台下春夜十二時咎められず
遅日にて廃龍骨のさらに朽つ
四国霞めり光達を確むる
白魚火岸の燈明くなりし代に
燈台は光の館桜の夜
燈台より光駈け出す桜の夜
みづからの桜照らさず燈台は
矢車が遠く慈光を撒き散らす
虎杖は城塁の花石の花
虹の環に白雲を容れ通らしめ
きれはしの虹を馬籠の天に拾ふ
夏の夜の船より海へ片手出す
夏の夜の航水棄てし重き音
夏の夜半銅製錬の火の島よ
青山を逆撫での風愛撫の風
青吉野鍾乳洞を匐うて出る
米負うて高きへ帰る夏の暮
谿に恋恋桟道の登山道