千載集 俊成
春の夜は軒端の梅をもる月のひかりもかをる心地こそすれ
千載集 崇徳院御製
春の夜は吹きまふ風のうつり香を木毎に梅と思ひけるかな
定家
春の夜をまどうつ雨にふりわびて我のみ鳥の聲を待つかな
定家
春の夜は月の桂もにほふらんひかりに梅の色はまがひぬ
新古今集 定家
春の夜の夢のうきはしとだえして嶺に別るるよこぐものそら
実朝
ながむれば衣手かすむひさかたの月のみやこの春のよの空
芭蕉
春の夜や籠り人ゆかし堂の隅
芭蕉
春の夜は桜に明てしまひけり
蕪村
春の夜に尊き御所を守身かな
蕪村
春の夜や宵あけぼのの其中に
蕪村
春の夜や盥をこぼす町外れ
召波
春の夜や足洗はする奈良泊
几董
春の夜や連哥満たる九条殿
青蘿
春の夜や雨をふくめる須磨の月