和歌と俳句

ヒヤシンス

龍之介
片恋のわが世さみしくヒヤシンスうすむらさきににほひそめけり

利玄
二階より君とならびて肩ふれて見下す庭のヒヤシンスかな

白秋
ヒヤシンス薄紫に咲きにけりはじめて心顫ひそめし日

晶子
紫のヒヤシンス泣くくれなゐのヒヤシンス泣く二人並びて

虚子
いたづらに葉を結びありヒヤシンス

ガーデンの女あるじやヒヤシンス 播水

草城
ヒヤシンス花満ちにけり座右の春

草城
めをとむるヒヤシンスあり事務の閑

草城
居残りの灯の閑かなりヒヤシンス

草城
飾窓のぼせてゐるやヒヤシンス

秋櫻子
敷く雪の中に春置くヒヤシンス

汀女
ヒヤシンス犬聞いてゐしわかるらし

汀女
母の声子の声まじりヒヤシンス