和歌と俳句

皆吉爽雨

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

掃苔の掃きにごしたる流かな

初紅葉しつつ高雄は祭りかな

みささぎは岩山にして鳥渡る

恵那晴れて囮さへづるばかりなり

御像に菊思ひきや獺祭忌

奥宇陀は稲架の山路や紅葉狩

稲架の上に紅葉の嶮のほしいまま

檜葉葺いてある囮より高音かな

白山を鳥のみちとしかかる鳥屋

越前に槍嶽が見ゆなり小鳥狩

霧の夜の山と見過ぎし伽藍かな

霧はれて索道滝の面かよふ

下りゆく湯の華沿ひや紅葉谷

秋晴や巣函をつけて牧の木々

秋晴や牧へわかるる梓川

尾根尾根へ消えゆく馬柵や草紅葉

掃苔の葛ひろびろと薙ぎはじむ

浮見堂月まつ湖へ扉をひらく

秋のくれ供待灯る門を過ぐ