梓川
川瀬ゆるく浪をおくるや青嵐 蛇笏
晶子
山の日は 梓の川の 流域の 見えわたるまで 全く昇りぬ
晶子
ありと見え やがて跡なく なりぬなり 梓の川は 遠方にして
憲吉
み空なる 大天井岳を くだりきて 瀬の音こほしも 梓川原に
梓川瀬音たかまるキヤンプかな 楸邨
茂吉
梓川 さかまくを見て 山岸の 高きに来れば 音たかまりぬ
茂吉
梓川の 川上とほく 東北 ひらきそむれば 萌黄空見ゆ
茂吉
風呂場より 二人聞き居る 風のおと 梓川より 吹きあぐるらし
茂吉
ひむがしへ 谷はひらけて 梓川の 水上のかたに 晴れゆける空
秋口の粥鍋しづむ梓川 蛇笏
秋晴や牧へわかるる梓川 爽雨
九月はや紅葉を流す梓川 野風呂
鳴る音の梓川なる花野かな 青畝
梓川風波だちて残花ちる 蛇笏