西行
ながむながむ散りなむことを君も思へ黒髪山に花咲きにけり
二荒嶺も黄金花さけ春の嵐 一茶
子規
白雲の 蒲團の中に つつまれて ならんで寐たり 女體男體
子規
下野の二荒の山は紅葉してところどころに瀧ぞかかれる
子規
いにしへの黄金の殿の残りたる二荒山の杉のむら立 /p>
二荒や紅葉紅葉の山かつら 子規
左千夫
もみぢ葉のいてりあかるき谷かげの岩間どよもし水おちたぎつ
左千夫
もみぢばの八重てる山の岩秀なるみさきのへよりたきほどばしる
左千夫
滝つぼの岩間たひろみ青淀にもみぢ葉ちりてうづまき流る
左千夫
青空にいかよふ山の中つへに緋の雲たてり千重のもみぢ葉
節
二荒のふもとをゆけば野のきはみ山あひにして瀧かゝるみゆ
節
二荒の山のつゞきの山もとにたぎつ七たき七つなみおつ
節
二荒山いまだ明けねば關本の圃なる梨は露ながらとる
節
雨過ぎば青葉がうれゆ湖に雫するらむ二荒山の上
白根男体雲やすまらぬ夏野行く 水巴
わが髪をぬらす黒髪山時雨 青邨
男体も湯の湖もとざし夜霧来ぬ 貞
男体山大き創痍の雪に晴れ 茅舎
男体はいま颱風の真青栗 楸邨
男体の雲動き出て秋時雨 たかし
男体に破れを詫びて障子貼る 静塔
一列を以て登拝古式なる 静塔
帷子よ芭蕉登拝せしとせば 静塔
雲海の上の行道有頂天 静塔
女郎花岨に滝見る老となりぬ 水巴
鷹の巣のひとり高しや芽立ち前 波郷
虚国の尻無川や夏霞 不器男
しぶき激し湖水の鱒の落ちる滝 水巴
眼路狭く霧の花野を行き行きぬ たかし
左千夫
夏草の菖蒲が浦に舟よせて竜頭の滝を見にぞわがこし
左千夫
つがの木のしみたつ岩をいめぐりて二尾におつる滝つ白波
白竜の地軸をゆする芽を誘ふ 亜浪
梅雨冷の三本松の甘酒屋 青邨