いつまでも つきせぬ御代に くらべては 千代のみどりの 松もものかは
白雲の 蒲團の中に つつまれて ならんで寐たり 女體男體
おこつては ふくれるふぐの 腹の皮 よりて聞き人は 笑ふなるらん
ほととぎす ともに聞かんと 契りけり 血に啼くわかれ せんと知らねば
ここに消え かしこにできて 物質の へりもせずまた 加はりもせず
白河の 濁らぬ水も 中々に 清き心に 及ばざりけり
後の世に かく言の葉の 種ならん 神代に咲ける やまと撫し子
おきあまる なみだの露と しらねばや 袂の上に 月ぞやどれる
山々の 錦のきぬの あはひより 雪の皃出す 富士の頂
白粉と 見えたる雪の ふじ額 空はみどりの びんづらにして
たどりきぬ 今はたとせを こゆるきの 五十六十も ながらへんとて
かねて見し 大内山の 月影を 鳰てる海に うつしてしかな