万葉集・巻第二・相聞
古尓 戀流鳥鴨 弓絃葉乃 三井能上従 鳴濟遊久
いにしへに 戀ふる鳥かも 弓絃葉の 御井の上より 鳴き渡り行く
万葉集・巻第二・相聞
芳野河 逝瀬之早見 須臾毛 不通事無 有巨勢濃香問
吉野川 行く瀬の早み しましくも 淀むことなく ありこせぬかも
万葉集・巻第二・相聞
吾妹兒尓 戀乍不有者 秋芽之 咲而散去流 花尓有猿尾
我妹子に 恋ひつつあらずは 秋萩の 咲きて散りぬる 花にあらましを
夕さらば潮満ち来ねむ住吉の浅香の浦に玉藻刈りてな
大船の泊つる泊りのたゆたひに物思ひ痩せぬ人の子故に
滝の上の三船の山に居る雲の常にあらむと我が思はなくに
ほととぎすなかる国にも行きてしかその鳴く声を聞けば苦しも
秋萩の上に置きたる白露の消かもしなまし恋ひつつあらずは