和歌と俳句

柿本人麻呂歌集

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後将見跡君之結有巌代乃子松之宇礼乎又将見香聞

後見むと君が結べる岩代の小松がうれをまたも見むかも

三吉野之御船乃山尓立雲之常将在跡我思莫苦二

み吉野の三船の山に立つ雲の常にあらむと我が思はなくに

天海丹雲之波立月船星之林丹榜隠所見

天の海に雲の波立ち月の舟星の林に漕ぎ隠る見ゆ

痛足河河浪立奴巻目之由槻我高仁雲居立有良志

穴師川川波立ちに巻向の弓月が岳に雲居立てるらし

足引之山河之瀬之響苗尓弓月高雲立渡

あしひきの山川の瀬の鳴るなへに弓月が岳に雲立ちわたる

動神之音耳聞巻向之檜原山乎今日見鶴鴨

鳴る神の音のみ聞きし巻向の檜原の山を今日見つるかも

三毛侶之其山奈美尓兒等手乎巻向山者継之宣霜

みもろのその山なみに子らが手を巻向山は継ぎしよろしも

我衣色取染味酒三室山黄葉為在

我が衣色とり染めむ味酒三室の山は黄葉しにけり

巻向之病足之川由往水之絶事無又反将見

巻向の穴師の川ゆ行く水の絶ゆることなくまたかへり見む

黒玉之夜去来者巻向之川音高之母荒足鴨疾

ぬばたまの夜さり来れば巻向の川音高しもあらしかも疾き

古尓有険人母如吾等架弥和乃檜原尓挿頭折兼

いにしへにありけむ人も我がごとか三輪の檜原にかざし折りけむ

往川之過去人之手不折者裏觸立三和之檜原者

行く川の過ぎにし人の手折らねばうらぶれ立てり三輪の檜原


網引為海子哉見飽浦清荒磯見来吾

網引きする海人とか見らむ飽の浦の清き荒磯を見に来し我れを