幸于吉野宮時 弓削皇子贈与額田王歌一首
古尓戀流鳥鴨弓絃葉乃三井能上従鳴濟遊久
吉野の宮に幸す時に、弓削皇子の額田王に贈与る歌一首
いにしへに恋ふる鳥かも弓絃葉の御井の上より鳴き渡り行く
額田王奉和歌一首 従倭京進入
古尓戀良武鳥者霍公鳥蓋哉鳴之吾念流碁謄
額田王和へ奉る歌一首。倭の京より進り入る
いにしへに恋ふらむ鳥はほととぎすけだしや鳴きし我が恋ふるごと
従吉野折取蘿生松柯遣時 額田王奉入歌一首
三吉野乃玉松之枝者波思吉香聞君之御言乎持而加欲波久
吉野より蘿生す松が枝を折り取りて遣る時に、額田王が奉り入るる歌一首
み吉野の玉松が枝ははしきかも君が御言を持ちて通はく