木曽川
下り舟岩に松ありつゝじあり 子規
木曽川に信濃の入梅の濁り哉 子規
節木曾川のすぎにし舟を追ひがてに松の落葉を踏みつゝぞ來し
木曽川の今こそ光れ渡り鳥 虚子
茂吉
あが心 かたじえなさに 木曾がはの 鳴瀬聞きつつ 二夜寝にけり
千樫
木曽川の流れはいまだ見えずけり嵐吹き明る麦畠の路
木曽川の瀬のきこえ来し桑の実よ 秋櫻子
どん底を木曽川の行く枯野かな たかし
木曽下り一つ難所の大白雨 野風呂
搦手の木曽川へ落つ露の径 たかし
秋の水木曽川といふ名にし負ふ 虚子
木曾川の出水を見んと著たる蓑 たかし
木曽川のここら凡なり鮎かくる たかし
靴の底より舞ひ出て穂絮木曽川へ 楸邨