和歌と俳句

糸魚川

秋櫻子
高嶺見ゆ秋雨雲に雪の肩

親不知

涼菟
人としておやしらずとは冷じや

子規
秋風や白雲迷ふ親不知

楸邨
白妙に消え入る葛の走り水

楸邨
夏雲とあらゆる巌の目鼻かな

楸邨
親不知野分の石の石の落つ

青畝
北の星とびはじめたり親不知

日本海押し迫る駅水打てり 登四郎

灼くる海に一肘たふす転轍機 登四郎

葛咲ける子不知に来て子を恋ふも 登四郎

楸邨
親不知鵜に黄塵を吹きおろす

誓子
親不知雪嶺下り来てここに落つ

青畝
海の日のつるべ落しや親不知

市振

芭蕉(奥の細道)
一つ家に遊女もねたり萩と月

楸邨
夜光虫闇より径があらはれ来る

楸邨
鼠出て月をうかがふ青葡萄

楸邨
市振や隣の間なるつづりさせ

楸邨
や灯のうつくしき上野行

楸邨
天草の匂へる闇の終列車

林火
ここ市振冬濤に汽車声あげ過ぐ

青畝
一つ家のその市振のに我