秋櫻子高嶺見ゆ秋雨雲に雪の肩
涼菟人としておやしらずとは冷じや
子規秋風や白雲迷ふ親不知
楸邨白妙に消え入る葛の走り水
楸邨夏雲とあらゆる巌の目鼻かな
楸邨親不知野分の石の石の落つ
青畝北の星とびはじめたり親不知
日本海押し迫る駅水打てり 登四郎
灼くる海に一肘たふす転轍機 登四郎
葛咲ける子不知に来て子を恋ふも 登四郎
楸邨親不知鵜に黄塵を吹きおろす
誓子親不知雪嶺下り来てここに落つ
青畝海の日のつるべ落しや親不知
芭蕉(奥の細道)一つ家に遊女もねたり萩と月
楸邨夜光虫闇より径があらはれ来る
楸邨鼠出て月をうかがふ青葡萄
楸邨市振や隣の間なるつづりさせ
楸邨蜩や灯のうつくしき上野行
楸邨天草の匂へる闇の終列車
林火ここ市振冬濤に汽車声あげ過ぐ
青畝一つ家のその市振の月に我