和歌と俳句

松尾芭蕉

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名月の出るや五十一ケ条

たびねして我句をしれや秋の風

よの中は稲かる頃か草の庵

手向けりははちすに似たるとて

声すみて北斗にひびく

何ごともまねき果たるすすき

鶴鳴くや其声に芭蕉やれぬべし

其玉や羽黒にかへす法の月

一家に遊女も寐たり

文月や六日も常の夜には似ず

荒海や佐渡によこたふ天河

薬欄にいづれの花をくさ枕

わせの香や分入右は有ぞ海

あかあかと日は難面も秋の風

熊坂がゆかりやいつの玉まつり

秋すずし手毎にむけや瓜茄子

塚もうごけ我泣声は秋の風

しほらしき名や小松吹萩薄

ぬれて行や人もおかしきあめの

むざんやな甲の下のきりぎりす

山中はたおらぬ湯の匂

桃の木の其葉ちらすな秋の風

いさり火にかじかや波の下むせび

湯の名残今宵は肌の寒からむ

けふよりや書付消さん笠の