名月の出るや五十一ケ条
たびねして我句をしれや秋の風
よの中は稲かる頃か草の庵
手向けり芋ははちすに似たるとて
声すみて北斗にひびく砧哉
何ごともまねき果たるすすき哉
鶴鳴くや其声に芭蕉やれぬべし
其玉や羽黒にかへす法の月
文月や六日も常の夜には似ず
薬欄にいづれの花をくさ枕
わせの香や分入右は有ぞ海
あかあかと日は難面も秋の風
熊坂がゆかりやいつの玉まつり
秋すずし手毎にむけや瓜茄子
塚もうごけ我泣声は秋の風
しほらしき名や小松吹萩薄
ぬれて行や人もおかしきあめの萩
むざんやな甲の下のきりぎりす
桃の木の其葉ちらすな秋の風
いさり火にかじかや波の下むせび
湯の名残今宵は肌の寒からむ
けふよりや書付消さん笠の露