和歌と俳句

松尾芭蕉

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菊の花咲や石屋の石の間

琴箱や古物店の背戸の菊

行秋のけしにせまりてかくれけり

いなづまやかほのところが薄の穂

ひやひやと壁をふまへて昼寐哉

道ほそし相撲とり草の花の露

たなばたや穐をさだむる夜のはじめ

家はみな杖にしら髪の墓参

数ならぬ身となおもひそ玉祭り

いなづまや闇の方行五位の声

風色やしどろに植し庭の

里ふりての木もたぬ家もなし

名月に麓のや田のくもり

名月の花かと見へて棉畠

今宵誰よし野の月も十六里

まつ茸やしらぬ木の葉のへばりつく

蕎麦はまだ花でもてなす山路かな

新藁の出初てはやき時雨哉

行あきや手をひろげたる栗のいが

冬瓜やたがいにかはる顔の形

びいと啼く尻声悲し夜の鹿

菊の香やならには古き仏達