和歌と俳句

冷やか 秋冷

ひやひやと壁をふまへて昼寝哉 芭蕉

よりかかる度に冷つく柱哉 一茶

尻の跡のもう冷かに古畳 子規

ひやひやと雲が来るなり温泉の二階 漱石

ひやひやと朝日さしけり松の中 子規

冷かな鐘をつきけり円覚寺 漱石

冷やかに十境三井の名所かな 碧梧桐

冷やかな瓦を鳥の遠近す 漱石

冷かや人寐静まり水の音 漱石

冷やかな脈を護りぬ夜明方 漱石

冷かな足と思ひぬ病んでより 漱石

冷やかに触れても見たる擬宝珠哉 漱石

身の上に法冷かに来りけり 虚子

冷やかに住みぬ木の影石の影 鬼城

みかへればわが身の綺羅も冷やかに 龍之介

ひややかにのべたる皺や旅衣 蛇笏

ことごとく硝子戸閉して冷かに 万太郎

冷やかに簔笠かけし湖のふね 蛇笏

秋冷の瀬音いよいよ響きけり 草城

秋冷喉にあり繊きあごを引く 草城

冷やかや畳に触れぬつちふまず 草城

ひややかや黍も爆ぜゐる夕まうげ 不器男

冷やかに女人高野の路ひとつ 青畝

冷やかに千曲の川の石の肌 占魚

冷やかに青める玻璃の器かな< 占魚/p>

ひややかにみずおといともひくかりき 蛇笏

ひやゝかやたまたま月の七日ほど 万太郎

冷かにわれを遠くにおきて見る 風生

冷やかに山嶽挙げてわびごころ 蛇笏

秋冷のまなじりにあるみだれ髪 蛇笏

冷やかに大富士形をたもつのみ 蛇笏

きぬぎにの灯冷かに松江かな 青畝

ひやゝかにふたゝびえたるいのちかな 万太郎

口中へ涙こつんと冷やかに 不死男