ものひとつ我がよはかろきひさご哉 芭蕉
ありやうにすはりて青き瓢かな 涼菟
花や葉に恥しいほど長瓢 千代女
順礼の目鼻書ゆくふくべ哉 蕪村
人の世に尻を居へたるふくべ哉 蕪村
ひとりはえてひとつなりたる瓢かな 几董
夕かぜやしぶしぶ動く長ふくべ 几董
老たりな瓢と我影法師 一茶
取付て松にも一つふくべかな 子規
風ふけば糸瓜をなぐるふくべ哉 漱石
吐せども酒まだ濁る瓢かな 碧梧桐
台風に傾くままや瓢垣 久女
枯色の華紋しみ出し瓢かな 久女
あをあをとかたちきびしき瓢かな 蛇笏
池籬や瓢すがるる蔓はなれ 蛇笏
牧水
すがれ葉やすがれし蔓のうへにまろびあらはなるかも瓢の子等は
牧水
見てあればひとつひとつが笑ひいづるひさごの数はかずかぎりなし
牧水
大ひさご小ひさご地にまろびあひてねむりころがる秋のひなたに
浸けてある野分の池の瓢かな 烏頭子
形よき瓢もとめて仰ぎ寄る 烏頭子