和歌と俳句

松尾芭蕉

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盃に三つの名をのむこよひかな

東にしあはれさひとつ秋の風

名月や池をめぐりて夜もすがら

もの一我がよはかろきひさご

あけゆくや二十七夜も三かの月

いなづまを手にとる闇の紙燭哉

は下手のかくさへ哀也

はやしこずゑはあめを持ながら ( 鹿島詣 )

寺に寝て誠がほなる月見

此松のみばへせし代や神の秋

かりかけしたづらのつるやさとの

賤のこやいね摺かけて月をみる

いものはや月待つさとの焼ばたけ

萩原や一よはやどせ山のいぬ

蓑虫のおとを聞に来よ艸の庵

起あがるほのか也水のあと

痩ながらわりなき菊のつぼみ哉

たびにあきてけふ幾日やら秋の風

あの雲は稲妻を待たより哉

何事の見たてにも似ず三かの月

よき家や雀よろこぶ背戸の粟

はつ穐や海も青田の一みどり

蓮池や折らで其まま玉まつり

刈あとや早稲かたがたの鴫の声

粟稗にとぼしくもあらず草の庵