五月雨に御物遠や月の皃
降音や耳もすふ成梅の雨
杜若にたりやにたり水の影
夕皃にみとるるや身もうかりひよん
夕皃の花に心やうかりひよん
岩躑躅染むる涙やほととぎ朱
しばしもまつやほととぎす千年
五月雨も瀬ぶみ尋ぬ見馴河
なつ木立はくやみ山のこしふさげ
うつくしき其ひめ瓜や后ざね
たかうなや雫もよゝの篠の露
山のすがた蚤が茶臼の覆かな
富士の山蚤が茶臼の覆かな
雲を根に富士は杉なりの 茂かな
命なりわづかの笠の下涼み
夏の月ごゆより出て赤坂や
富士の風や 扇をのせて江戸土産
百里来たりほどは雲井の下涼
またぬのに菜売に来たか時鳥
あすは 粽難波の枯葉夢なれや
五月雨や竜灯揚る番太郎
近江蚊屋汗やさざ波夜の床
梢よりあだに落けり蝉のから
水むけて跡とひたまへ道明寺
あやめ生り軒の鰯のされかうべ
菖蒲生けり去年の鰯の髑髏