足洗てつゐ明安き丸寐かな
有難きすがた拝まんかきつばた
花あやめ一夜にかれし求馬哉
此ほたる田ごとの月にくらべみん
世の夏や湖水にうかぶ波の上
めに残るよしのをせたの 蛍哉
艸の葉を落るより飛蛍哉
海ははれてひえふりのこす五月哉
皷子花の短夜ねぶる昼間哉
夕がほや秋はいろいろの瓢かな
ひるがほに昼寐せうもの床の山
無き人の小袖も今や土用干
やどりせむあかざの杖になる日まで
夏来てもただひとつ葉の一葉哉
城あとや古井の清水先問む
撞鐘もひびくやうなり蝉の声
山陰や身を養はん瓜畑
もろき人にたとへむ花も夏野哉
此あたり目に見ゆるものは皆涼し
おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉
南もほとけ艸のうてなも涼しかれ
瓜の花雫いかなる忘れ艸
ふくかぜの中をうを飛御祓かな