五月の雨岩ひばの緑いつ迄ぞ
郭公まねくか麦のむら尾花
五月雨に鶴の足みじかくなれり
愚にくらく棘をつかむ蛍哉
闇夜きつね下ばふ玉真桑
夕皃の白く夜の後架に帋燭とりて
ほととぎす正月は梅の花咲けり
清く聞ん耳に香焼て郭公
椹や花なき蝶の世すて酒
青ざしや草餅の穂に出つらん
馬ぼくぼく我をゑに見る夏野哉
時鳥鰹を染にけりけらし
雪の中は昼顔かれぬ日影哉
昼顔に米つき涼むあはれ也
戸の口に宿札なのれほととぎす
杜若われに発句のおもひあり
いざともに穂麦喰はん草枕
梅こひて卯花拝むなみだ哉
団扇もてあふがん人のうしろむき
白げしにはねもぐ蝶の形見哉
牡丹蘂ふかく分出る蜂の名残哉
鳥さしも竿や捨けんほととぎす
行駒の麦に慰むやどり哉