和歌と俳句

鵜飼 鵜船 鵜匠

家持
叔羅川瀬を尋ねつつ我が背子は鵜川立たさね心なぐさに

家持
鵜川立ち取らさむ鮎のしが鰭は我れにかき向け思ひし思はば

俊頼
ますらをは鵜川の瀬々に鮎とると引く白縄の絶えずもあるかな

崇徳院
早瀬川みを溯る鵜飼舟まづこの世にもいかがくるしき

新古今集 慈円
鵜飼舟あはれとぞ見るもののふのやそ宇治川の夕闇の空

新古今集 寂蓮
鵜飼舟高瀬さし越す程なれやむすぼほれゆく篝火の影

新古今集 俊成
大堰川篝さし行く鵜飼舟いく瀬に夏の夜を明かすらむ

新古今集 定家
ひさかたの中なる川の鵜飼舟いかに契りて闇を待つらむ

有家
後の世を知らせがほにも篝火のこがれて過ぐる鵜飼舟哉

定家
うちも寝ず暮るればいそぐ鵜飼舟しづまぬよもや苦しかるらむ

定家
をちこちにながめやかはす鵜飼舟やみをひかりのかがり火のかげ

良経
大堰川なほ山かげに鵜飼舟いとひかねたる夜半の月かな

俊成
篝さしよかはの棚はうちはへて後瀬も知らぬ鵜飼舟かな

定家
みじか夜の鵜川にのぼるかがり火のはやくすぎゆく水無月の空

定家
鵜飼舟むらさめすぐるかがり火に雲間の星のかげぞあらそふ