千樫にごり河の岸の小笹に押しならびつばくらの子は鳴きて居にけり
久女訪ふを待たでいつ巣立ちけむ燕の子
青邨燕の子ゐると思へば昼しづか
汀女子燕のさざめき誰も聞き流し
汀女ほしいまま茂る木の間を親燕
多佳子待つ長し電線つかみ仔燕等
多佳子母燕細し炎天へ翔けいづるとき
三鬼燕の子眠し食いたし雷起る
林火黒と白すでにくきやか子燕は
双魚子燕のうす紅の喉糸ぐるま
爽雨飛びならふ子燕の中ぬけて親
爽雨崖すがりしては子燕飛びならふ