渡り懸て藻の花のぞく流哉 凡兆
藻の花や藤太が鐘の水離れ 蕪村
藻の花や片われからの月もすむ 蕪村
藻の花やわれても末に舟の跡召波
藻の花や小川に沈む鍋のつる 子規
藻の花の上に乗り込む田舟哉 子規
藻の花の重なりあふて咲きにけり 子規
藻の花や水ゆるやかに手長鰕 子規
藻の花に鷺彳んで昼永し 子規
藻の花に日当らざるお堀かな 虚子
曲江に山かげ澄みて花藻かな 蛇笏
藻の花の窗前の湖雨降れり 蛇笏
泥舟の水棹たてたる花藻かな 蛇笏
日蔽垂るる水にあかるき花藻かな 蛇笏
ちぎれ浮くふさ藻の先も花咲きぬ 立子
舟にさす日傘のうちの花藻かな 汀女
藻の花や田水車の高がかり 野風呂
花もたぐ立藻浮藻や池ひろし 野風呂
藻の花や母娘が乗りし沼渡舟 虚子
藻の花に水死の夢を想ひけり 亜浪
藻の花に雨やむ楡のしづくかな 蛇笏
藻の花や畏まらねば宜しけれ耕衣