後拾遺集・雑歌 選子内親王
ひかりいづる 葵の影を みてしかば 年へにけるも うれしかりけり
後拾遺集・雑歌 返し 入道前太政大臣道長
もろかづら 二葉ながらも 君にかく 葵や神の しるしなるらむ
清正
みな人の なべてかざせば 葵草 いづれをそれの しるしとかみむ
千載集・雑歌 実方
ちはやぶる いつきの宮の 旅寝には あふひぞ草の 枕なりける
経信
かみ人の いはひかくなる 葵草 いとど栄えむ しるしとぞみる
公実
神山の けふのしるしの あふひ草 こころにかくる かざしなりけり
顕季
昔より 今日のみあれに あふひ草 かけてぞ頼む 神の契を
千載集 基俊
あふひ草 照る日は神の 心かは 影さすかたに まづなびくらん
清輔
いにしへの 契は知らず あふひ草 思ひかけける けふぞうれしき
俊成
神やまにひき残さるる葵草ときにあはでもすぐしつるかな
俊成
ちはやぶるかものやしろの葵草かざすけふにもなりにけるかな
千載集 式子内親王
神山のふもとになれしあふひ草引きわかれても年ぞへにける
新古今集 式子内親王
忘れめやあふひを草にひき結びかりねの野邊の露のあけぼの
新古今集 小侍従
いかなればそのかみ山のあふひ草年は経れども二葉なるらむ
定家
年をへて神もみあれのあふひぐさかけてかからむ身とはいのらず
定家
雲の上の千代のみかげにあふひ草神の恵みをかけて待つかな
俊成
あふひ草ひかげになびく心あれば天つやしろもあはれかくらむ
俊成
いかなれば日かげにむかふ葵草つきのかつらの枝をそふらむ
俊成
よそながら今日の日吉の祭りにも賀茂のみあれの葵なりけり
定家
見ることに猶めづらしきかざしかな神世かけたるけふの葵よ
新勅撰集 後徳大寺左大臣実定
いくかへり けふのみあれに あふひぐさ たのみをかけて としのへぬらん