和歌と俳句

田植え

風流の初やおくの田植うた 芭蕉

柴附し馬のもどりや田植樽 芭蕉

やまぶきも巴も出る田うへかな 許六

産月の腹を抱へて田植かな 許六

麦跡の田植や遲き蛍どき 許六

けふばかり男をつかふ田植哉 千代女

つれよりも跡へ跡へと田うへかな 千代女

田うへ唄あしたも有に道すがら 千代女

日忌は常のかほなり田植笠 千代女

我門へ尻の近よる田植かな 也有

離別れたる身を蹈込で田植哉 蕪村

見わたせば蒼ひとくさよ田植時 蕪村

けふはとて娵も出でたつ田植哉 蕪村

雨ほろほろ曾我中村の田植哉 蕪村

けふも又田植あるやら竹の奥 召波

かづらきの皇子よりや奥の田植うた 暁台

鳩の巣に吹とらるゝな田うゑがさ 暁台

やさしやな田を植るにも母の側 太祇

寺からも婆を出されし田植哉 太祇

漣にうしろ吹るゝ田植かな 太祇

覚えんとすればとぎるゝ田唄哉 青蘿

湖の水かたぶけて田植かな 几董

もたいなや昼寝して聞田うへ唄 一茶

道とふも遠慮がましき田植哉 一茶

みちのくや判官どのを田うへ哥 一茶

藪陰やたつた一人の田植唄 一茶

襟までも白粉ぬりて田植哉 一茶

しなのぢや山の上にも田植笠 一茶

良寛
苗々と我が呼ぶ聲は山越えて谷のすそこえ越後たうゑのうた