和歌と俳句

松岡青蘿

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蝶ひとつ竹に移るや衣がへ

更衣うすき命を祝ひけり

散けしの中に生る ゝ仏かな

摘ずとも花あり香あり白扇

はなのうへにこ ゝろ皆置牡丹かな

芍薬はかよわき花のうてなかな

白芥子の美人かくるゝ草の庵

白罌粟に照りあかしたる月夜哉

杜若ものゝすゞしきはじめ哉

鴛鴦のかざしの花かかきつばた

卯のはなのさなみに曇る沢辺哉

我宿の山梔子しろし杜宇

蜀魂なくや矢をつく雨の中

山一里われを送るか諌皷鳥

あやめ草綾の小路の夜明かな

植つけし夜は三日月の門田かな

覚えんとすればとぎるゝ田唄

我庵はひる寐する間に青田かな

薮かげやさゆりの花にとぶ

笹の葉の夜散ほどや飛ほたる

昼の鵜の現に鳴か籠のうち

世わたりや鵜縄の上も十二筋

聞うちにすゑまぼろしの水鶏哉

おもしろやふりむく鵜あり行鵜あり

あだ花の猶なつかしや瓜のはな