かはほりやさらば汝と両国へ
わか竹や山はかくれて入間川
蝿一つ打てはなむあみだ仏哉
五月雨にざくざく歩く烏哉
汁椀にぱつと夕皃明り哉
馬の草喰ふ音してとぶ蛍
本町をぶらりぶらりと蛍哉
竹垣の大夕立や素湯の味
蝉鳴や物喰ふ馬の頬べたに
一番に乙鳥くぐるちのわ哉
時鳥雇ひ菩薩の練出しぬ
順々にうごき出しけり雲の峰
としよれば犬も嗅ぬぞ初袷
雀子がざくざく浴る甘茶哉
青嵐吹やずらりと植木売
先住のつけわたり也かんこ鳥
人の世の銭にされけり苔清水
笋のウンプテンプの出所哉
早乙女の尻につかへる筑波哉
妹が子やじくねた形りでよぶ蛍
凉しさや笠へ月代そり落し
藪陰やたつた一人の田植唄
大原や小町が果の夏花つみ
妻なしが草を咲かせて夕凉
猫の子が蚤すりつける榎かな