和歌と俳句

小林一茶

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今咲し花へながるる蚊やり

翌も翌も同じ夕べか独蚊屋

しらじらと白髪も見へて蚊やり

宵祭大夕立の過にけり

夕月の正面におく蚊やり

身の上の鐘としりつつ夕凉

空豆の花に追れて更衣

艸そよそよ簾のそよりそより哉

夏の夜やいく原越ゆる水戸肴

下総の四国巡りやかんこ鳥

老ぬれば只蚊をやくを手がら哉

蚊やりして皆おぢ甥の在所哉

夏の夜やうらからみても亦打山

鵜匠や鵜を遊する艸の花

何をして腹をへらさん更衣

しんしんとゆりの咲けり鳴雲雀

梟よ蚊屋なき家と沙汰するな

我汝を待つこと久し時鳥

生て居るばかりぞ我とけしの花

五月雨や胸につかへるちちぶ山

古郷やよるも障るも茨の花

けいこ笛田はことごとく青みけり

大空の見事に暮る

あつき夜や江戸の小隅のへらず口

水鶏小菅の御門しまりけり