和歌と俳句

雲の峰

ながれより上にくだけて雲の峯 才麿

雲の峰幾つ崩て月の山 芭蕉

やあつさをおしむ雲のみね 芭蕉

雲の峰なんぼ嵐の崩しても 鬼貫

照りつけるさらしの上や雲の峯 許六

馬場先を乗出す果や雲の嶺 許六

爪先に入るや外山の雲のみね 野坡

夕立やふりそこなひて雲のみね 野坡

畠うつ黒き背中や雲の峰 涼菟

入相や野の果見ゆる雲のみね 涼菟

かたまりし暑さの果や雲の峰 千代女

廿日路の背中にたつや雲の峰 蕪村

飛のりの戻り飛脚や雲の峰 蕪村

雲のみね四沢の水の涸てより 蕪村

曠野ゆく身に近づくや雲の峰 蕪村

雲の峰に肘する酒呑童子かな 蕪村

立枯の木に蝉なきて雲のみね 蕪村

兀山のうしろをのぼる雲の峰 召波

雲の峯きのふに似たる今日も有 白雄

雲の岑の下から出たる小舟哉 一茶

雲の峰立や野中の握飯 一茶

凉しさよ手まり程なる雲の峰 一茶

たのもしや西紅の雲の峰 一茶

投出した足の先なり雲の峰 一茶

順々にうごき出しけり雲の峰 一茶

大の字に寝て見たりけり雲の峰 一茶

寝むしろや足でかぞへる雲の峰 一茶

湖へずり出しけり雲の峯 一茶

湖水から出現したり雲の峯 一茶

米国や夜もつつ立雲の峰 一茶

田よ畠よ寸馬豆人雲の峰 一茶