虫干や人丸赤人の袖の風 才麿
虫ぼしや片山里の松魚節 太祇
むし干やむかしの旅のはさみ箱 太祇
虫干の塵や百年二百年 子規
虫干や花見月見の衣の数 子規
虫干やけふは俳書の家集の部 子規
虫干や返す人亡き書一函 碧梧桐
虫干の寺に掃苔の供養かな 碧梧桐
蟲干や東寺の鐘に遠き縁 蛇笏
むしぼしの巣くふ蟲あるや古鏡 蛇笏
蟲干のあつめし紐や一とたばね 蛇笏
虫干の衣の香にゐて客主 禅寺洞
蜑が戸の虫干見ゆる澳辺かな 誓子
虫干やつなぎ合はせし紐の数 久女
虫干や金沢文庫経ばかり 喜舟
虫干や散らぬ三十六歌仙 喜舟
虫干の青き袖口たたまれし 素十
虫干や父の結城の我が似合う 茅舎
虫干や襟より父の爪楊枝 茅舎
虫干や明王足をはねたまふ 青畝
虫干に通ふ白浪絶えもせぬ 誓子
虫干の終りに近く入日さす 誓子
旅籠屋の二階虫干するあはれ 誓子
吾と妻とのもの虫干の綱たるみ 誓子
虫干の衣の乏しさこれにてよし 波津女
古風なる虫干羅紗の帽子まで 静塔
虫干や青空かけて梅小紋 静塔