遍昭
蓮葉のにごりにしまぬ心もてなにかは露をたまとあざむく
好忠
夏の池水の面隠す蓮葉にただよふ露の身をいかにせん
西行
おのづから月やどるべきひまもなく池に蓮の花咲きにけり
俊成
浮草のすゑより風は吹くなれど池のはちすぞまづかをりける
定家
はちす咲くあたりの風のかほりあひて心のみづを澄す池かな
良経
夏ふかき入江のはちす咲きにけり波にうたひて過ぐる舟人
定家
風わたる池のはちすのゆふづく夜ひとにぞあたるかげも匂も
芭蕉
蓮のかを目にかよはすや面の鼻
千代女
蓮白しもとより水は澄まねども
蕪村
白蓮を切らんとぞおもふ僧のさま
蕪村
蓮の香や水をはなるる茎二寸
蕪村
佛印のふるきもたへや蓮のはな
蕪村
羅に遮る蓮のにほひ哉
白雄
白蓮にゆふ雲蔭るあらし哉
太祇
蓮の香や深くも籠る葉の茂
太祇
先いけて返事書也蓮のもと
一茶
蓮の花虱を捨るばかり也
一茶
うす縁や蓮に吹かれて夕茶漬
良寛
みあへする物こそなけれ小がめなる蓮の花を見つつしのばせ