和歌と俳句

風鈴 ふうりん

風鈴の音を點ぜし軒端かな 虚子

風鈴に起きて寝ざめのよき子かな 淡路女

風鈴の遠音きこゆる涼しさよ 草城

風鈴や遠くどよもすはたた神 草城

夕風や風鈴吊ればすぐに鳴る 草城

月の隈風鈴ありて鳴り出づる 草城

風鈴や月光かくも更けわたり 草城

風鈴やわが家へおろす天津風 喜舟

風鈴や一座句作に静まれば みどり女

風鈴の下はるかなる沖つ浪 花蓑

風鈴や家新しき木の匂ひ 花蓑

風鈴に借浴衣して母の家 みどり女

風鈴に或ひは触れて浴後人 みどり女

風鈴や糸のほそさに音すめる 石鼎

風鈴に鍋釜置きて二階窓 みどり女

風鈴の垣根涼しく曲りけり みどり女

風鈴に大きな月のかかりけり 虚子

風鈴や硯の海に映りつゝ 花蓑

風鈴や唐黍よりの風荒らし 花蓑

風鈴をもらひしまゝに吊りしけり みどり女

風鈴のしきりにさびし留守の軒 石鼎

風鈴のむせび鳴りして夜半さびし 石鼎

姿見に見ゆる風鈴鳴りにけり 秋櫻子

風鈴の荷に川風や橋の上 秋櫻子

風鈴の空は荒星ばかりかな 不器男

風鈴に黍畠より夜風かな 久女

孤り居に風鈴吊れば黍の風 久女