和歌と俳句

原 石鼎

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簾かかげてとどき居る灯や青芒

日覆とれば俄に高し青芒

杣が戸に谷あけ易し青芒

小田の畦崖に添ひゐぬ青芒

まどかにも月出て安し天瓜粉

庭闇へ去るとき白しのつばさ

一つ盆にコツプ二つや麦酒ぬく

とぶや汀の石に下駄の跡

蒼蠅や草をのぼりて飛びにけり

鉢の木に蠅とぶ見ゆる簾哉

蠅打つて眼にたれさがる老の眉

うなり来し蠅に怖れし蠅のあり

ふせ肥に背戸の月夜やほととぎす

沖の岩に這ひ上りたる泳かな

棕梠の下焼けつく石にとかげかな

柿の木の幹をのぼりしとかげかな

積材を横り越えたるとかげかな

鮎梁や堰より上の谷のさま

梅天や古葉おとして大八ツ手

午寝せし茣蓙の枕や壁の下

夏帽の仰ぎて去りし実梅かな

青梅に軒まで積みし薪かな

でで虫に竹幹青し夕まぐれ

でで虫の草を這ひ居り壁の下

でで虫につくることなし草の雨

でで虫に昼夜相追ふ日と月と