夏痩やあしたゆふべの食好み 几董
夏やせを肌みせぬ妹の思ひかな 子規
夏やせの御姿見ゆるくらさ哉 子規
夏痩をなでつさすりつ一人哉 子規
夏やせの腮にいたし笠の紐 子規
夏痩は野に伏し山に寐る身哉 子規
夏痩や枕にいたきものの本 子規
夏痩の此頃蚊にもせせられず 漱石
夏毎に痩せ行く老の思ひかな 子規
夏痩て日に焦けて雲水の果はいかに 漱石
夏痩や牛乳に飽て粥薄し 子規
夏痩の文長々と物しけり 碧梧桐
夏痩の細き面輪に冠かな 虚子
夏痩の身をつとめけり婦人会 虚子
夏痩や汐汲ならふ舞の桶 万太郎
夏痩の白粉目立つ老となり 万太郎
夏痩や今はひとりの老の友 鬼城
なつやせや死なでさらへる鏡山 蛇笏
夏痩や古りて小さき峰の月 泊雲
夏痩のほつれ毛をかむ朱唇かな 泊雲
夏痩の青梅好む病かな 泊雲
夏痩や幾日旅笠の紐のあと 泊雲
夏痩の頬を流れたる冠紐 虚子
夏痩のこの身いとしき湯あみかな 草城
面影も失するばかりに夏やつれ 草城
山賤の夏を痩せたるあぎとかな 草城
夏痩も知らぬ女をにくみけり 草城
五尺七寸すずしきばかり夏痩せて 草城
夏痩の肩に喰ひ込む負児紐 しづの女