和歌と俳句

日野草城

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

夏痩のこの身いとしき湯あみかな

面影も失するばかりに夏やつれ

山賤の夏を痩せたるあぎとかな

夏痩も知らぬ女をにくみけり

五尺七寸すずしきばかり夏痩せ

避暑びととおぼしき都てぶりかな

避暑客のつらなり出づる夕戸かな

たましひのほとほとわびし昼寝覚

うつし世にかなしく覚めし昼寝かな

八十の尼前昼寝の仏顔

夕風や昼寝さめたる人と猫

方丈をなのめに断ちて昼寝かな

川狩にいつもの顔の揃ひけり

夜振の火ぽちぽちとして上の瀬に

御中元と書いて墨痕淋漓たり

土用灸艶なき肌を焦しけり

遅月の出て終りたる花火かな

花火舟櫓音ときめき溯る

閑けさや花火消えたるあとの星

晴れし夜の紅提灯やすずみ舟

水暗く櫓音生れぬ橋涼み

涼む娘にぞつこん惚れてしまひけり

踊子のそれぞれ恋をもちにけり

七人の女に恋はれ音頭取

の灯つきたる島や波の上