和歌と俳句

昼寝 午睡

手枕の間無く覚めよと昼寝かな 虚子

松の木に庭師来て居り昼寝覚 普羅

たましひのほとほとわびし昼寝覚 草城

うつし世にかなしく覚めし昼寝かな 草城

八十の尼前昼寝の仏顔 草城

夕風や昼寝さめたる人と猫 草城

方丈をなのめに断ちて昼寝かな 草城

侍者恵信糞土の如く昼寝たり 茅舎

昼寝比丘壁画の天女まひあそぶ 茅舎

昼寝覚うつしみの空あをあをと 茅舎

飲食のうしとて昼寝びたりかな 茅舎

屋根瓦ずれ落ちんとして午寐かな 水巴

みづうみの青さ目にしむ昼寝覚 草城

足のうら二つそろへて昼寝かな 草城

ありがたき風に居るなり昼寝覚 草城

他愛なき顔して居りぬ昼寝人 淡路女

太平記戦永引く昼寝かな 喜舟

晝寝ざめ面に垂るる簾かな 汀女

昼寝ざめ剃刀研ぎのとほりけり 麦南

不興なる午睡の顔を洗ひけり 麦南

司書わかし昼寝を欲りし書を閲す しづの女

たらちねの晝寐寐入らせたまひけり 汀女

潮騒や妻は昼寝をたのしみて 青邨

偸みたる昼寝芳し事務の椅子 しづの女

昼寝より天守にさめぬ天の高処 誓子

船の路昼寝のころは島絶えし 波津女

昼寝覚め青き潮路にわがゐたり 波津女

昼寝覚め両舷に島来り去る 波津女