和歌と俳句

川端茅舎

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日盛や綿をこあむりて奪衣婆

大どぶにうつる閻魔の夜店の灯

侍者恵信糞土の如く昼寝たり

昼寝比丘壁画の天女まひあそぶ

昼寝覚うつしみの空あをあをと

飲食のうしとて昼寝びたりかな

繭を掻く町の外れの温泉寺

土手越えて早乙女足を洗ひけり

玉巻きし芭蕉ほどけし新茶かな

夏氷鋸荒くひきにけり

飴湯のむ背に負ふ千手観世音

翡翠の影こんこんと溯り

幾重ね金魚の桶をひらきけり

万筋の芒流るるかな

蛍火の嚶珞たれしみぎはかな

蟻地獄見て光陰をすごしけり

花合歓に蛾眉ながながし午後三時

寒気だつ合歓の逢魔がときのかげ

総毛だち花合歓紅をぼかし居り

盧遮那仏若葉ぬきんで慈眼す

水晶の念珠に映る若葉かな

桑の実や苅萱堂に遊びけり

若竹や鞭の如くに五六本

双輪のぼうたん風にめぐりあふ

月白し牡丹のほむら猶上る