散牡丹ぼうたんの葉に草の葉に
ぼうたんのまへに嶮しや潦
百合の蘂皆りんりんとふるひけり
真白なかぜに玉解く芭蕉かな
玉解いて芭蕉は天下たひらかに
横たはる西瓜の号はツエペリン
伽羅蕗の滅法辛き御寺かな
新藷の既にあかきもうちまじり
もてなすに金平糖や麦の秋
麦埃赤光の星森を出づ
露涼しすがるの唸りいくすぢも
迎え火に合歓さんさんと咲き翳し
生身魂ちゝはゝいますごときかな
聖霊の茄子の形となりにけり
蝉の空松籟塵を漲らし
芭蕉葉に水晶の蝉羽を合せ
きりきりと眠れる合歓に昴かげ
ぼうたんや森を飛出す鐘の声
二三片烏雷雨にうたれ飛び
いかづちに松籟どつと乱れ落つ
でで虫に滝なす芭蕉広葉かな
一心にでで虫進む芭蕉かな
刻々と天日くらきいづみかな
水馬弁天堂は荒れにけり
栗の花舗装道路は野を縦に