滝行者今あつあつの昆布茶飲む
花桐のこぼれし蕗の広葉かな
花桐も雹も大地にはねかへり
ぼうたんを打つて大雹力抜け
渓流を掃けばすぐ澄む蝉時雨
蹌踉と夕立を見てをられしが
夕立をいのち嬉しきたゝづまひ
唐門のほとりに拾ふ桜んぼ
梅雨久し野は雑草の階をなす
大山門涼し群雀静まらず
涼しさや沙弥も不逞の面構へ
青蛙ぱつちり金の瞼かな
朱ヶの月出て夏草の鋭さよ
尾長来ていよよたわわの若楓
水馬青天井をりんりんと
水馬大法輪を転じけり
菖蒲葺く庇の上に香取かな
津の宮の鳥居に梅雨の鴎かな
蛍火に象牙の如き杭ぜかな
蛍火に水晶の杭ぎつしりと
明滅のいづれ悲しき蛍かな
風薫る鹿島の杉は剣なす
逆落し来て神泉の傾きぬ
岩清水武甕槌も掬びけん