心見に雀とまれや今年竹 子規
若竹や色もちあふて青簾 子規
紫陽花にかぶせかゝるや今年竹 子規
若竹や豆腐一丁米二合 子規
若竹や名も知らぬ人の墓の傍 漱石
若竹の夕に入て動きけり 漱石
若竹や廻る月日に朽つる臼 泊雲
空へ若竹のなやみなし 山頭火
若竹に風雨駆けるや庭の奥 普羅
わか竹や句はげむ月に立てかがみ 蛇笏
若竹に飯食うて居り時はづれ みどり女
若竹の着いてははなる風の屋根 石鼎
若竹に古竹色を収めけり 草城
古竹參差たりその中の今年竹 草城
朝風や藪の中なる今年竹 草城
若竹や鞭の如くに五六本 茅舎
闇ながらさだかに見えて今年竹 花蓑
若竹にかざ雲迅き日のありぬ 石鼎
若竹にそよげる風や藪の中 石鼎
牧水
やうやくに竹の形をなしきたり若竹どちのうちそよぐなる
牧水
親竹は伏し枝垂れつつ若竹は真直ぐに立ちて雨に打たるる
牧水
降り入れる雨に葉末をことごとくふるはせてをり若竹むらは
若竹やなきとぶ雀夕なる 石鼎
若竹の花筒つくり何彫らむ 彷徨子
若竹がこまやかなかげをつくつてゐた 山頭火
若竹の影のちらつく写しもの 風生
藪を伸びあがり若竹の青空 山頭火
若竹ゆらゆらてふてふひらひら 山頭火
若竹の地つき撓みて久しけれ 石鼎
若竹の伸びたる根なる筍よ 石鼎
門前やいま若竹の滑川 たかし
今年竹立ち並びたる閑居かな 素十
思ひ出の日な近づきそ今年竹 草田男
空へ若竹のなやみなし 山頭火
若竹や湯殿に水をそゝぐ音 占魚
今年竹檜傾く嵐かな 波郷
濡縁に母念ふ日ぞ今年竹 波郷
若竹のひとり高しや軒雀 波郷