白秋
あまりりす息もふかげに燃ゆるときふと唇はさしあてしかな
白秋
くれなゐのにくき唇あまりりすつき放しつつ君をこそおもへ
茂吉
ぬけいでし太青茎の茎の秀にふくれきりたる花あまりりす
茂吉
あまりりす鉢の土より直立ちて厚葉かぐろくこの朝ひかる
晶子
ひと本に思ひあまれる紅き花あまたつけたるアマリリスかな
ウエートレス昼間はねむしアマリリス 草城
アマリリス防波堤潮あをし 秋櫻子
燭さはに聖母の花のアマリリス 秋櫻子
四つの花四方に開きてアマリリス 草城
アマリリス朝日はつねに慈父の如く 鷹女
佛花としてアマリリスの花八方向く 多佳子
アマリリス跣足の童女のはだしの音 多佳子
名声消さず為事せぬ人アマリリス 草田男
病室の隅の未明やアマリリス 波郷
アマリリス土佐闘犬を飼へる門 悌二郎
天草も見えて船来るアマリリス 秋櫻子