和歌と俳句

南瓜の花

漱石
なんのその南瓜の花も咲けばこそ

赤彦
向じ家の 南瓜の花は 屋根をこえて 延び来るかな 黄の花を向けて

鬼城
南瓜咲いて西日はげしき小家かな

山頭火
捨苗いつか花つけし南瓜うれしけれ

橙黄子
落窪になだれ蔓る花南瓜

鴻村
みだらごと思ふかぼちやの花ばたけ

山頭火
かぼちやおほきく咲いてひらいておばあさんの顔

山頭火
みんなたつしやでかぼちやの花も

草田男
吾子等喜戯南瓜の花は民の花

青畝
花南瓜石の台にのりそひき

留守の座に向きて明るき花南瓜 知世子

三鬼
南瓜の花破りて雷の逃ぐる音

三鬼
かぼちや咲き眼立て爪立て蟹よろこぶ