和歌と俳句

金魚

いつ死ぬる金魚と知らず美しき 虚子

大風の星ひしめくや金魚買ふ 林火

膝つきて金魚の池に親しめり 誓子

旅了らむ燈下に黒き金魚浮き 多佳子

窓の風金魚は別に泳ぎ居り 汀女

やはらかに金魚は網にさからひぬ 汀女

金魚かたまれり数尾の死の後に 誓子

金魚貰ひたり洗面器に受くる 波津女

金魚夜を如何に過すや人は寝る 波津女

八専の雨にうたるる金魚かな 石鼎

友の金魚死なんとするを吻つつく 誓子

よき鉢によき金魚飼ひ書を読めり 虚子

金魚浮き時を吸ひては泡を吐く 三鬼

指を入る蘭鋳の頭に触るるまで 誓子

密集の金魚に選別手網入れる 多佳子

太りたる金魚の齢思ひ見る 立子

昼寝覚金魚の貌が通り過ぎ 楸邨

逆立ちて金魚艶なる姿見す 誓子