水うてや蝉も雀もぬるる程 其角
水打て露こしらへる門辺哉 太祇
打水や挑灯しらむ朝参り 一茶
武士町や四角四面に水をまく 一茶
打水やまだ夕立の足らぬ町 子規
古庭や水打つ夕苔くさき 子規
水打て石燈籠の雫かな 子規
水打て床几を両つ并べけり 漱石
三尺の庭に水うつ桐一本 碧梧桐
打水や空にかかれる箒星 虚子
打水や石燈籠にともすべく 虚子
打水にしばらく藤の雫かな 虚子
無花果の門の格子や水を打つ 蛇笏
わが眉に日の山遠し水を打つ 蛇笏
打水や塀にひろがる雲の峯 鬼城
水打たせて尚たれ籠る女房哉 普羅
水打つて四神に畏る足の跡 石鼎
打水や砂に滲みゆく樹々の影 亞浪
河鹿啼く水打つて風消えにけり 亞浪
水打てば御城下町のにほひかな 龍之介
打水や抱へ出て襷しめなほし 汀女
水打つや焦土騒げるさまにあり 石鼎
打水や檜葉そよそよと後れ風 花蓑
水打つや蝶あらはるゝうしろより 爽雨
打水や芝垣泳ぐものゝ蔓 泊雲
夕茜打水土に泡だてる 泊雲
打水や檜葉をたばしるかゝり水 花蓑
山荘や打水流る門の坂 虚子
炎帝の威の衰に水を打つ 虚子
暑に堪へて双親あるや水を打つ 虚子
板塀の応ふ音佳し水を打つ 草城
水打つて茗荷の花も濡れにけり 草城
立山のかぶさる町や水を打つ 普羅
紫陽花に松の雫や水打てば 放哉
庵の井のつめたき水を打ちにけり 麦南
打水や知らぬ葬列ながながと 月二郎