和歌と俳句

日野草城

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みづうみの青さ目にしむ昼寝覚

足のうら二つそろへて昼寝かな

ありがたき風に居るなり昼寝覚

避暑の宿夕風にみな灯りけり

冷えて国原の見のはろけしや

の玉ふつふつ結びやまぬかも

若者の汗旺んなる力業

俥挽うなじの汗を見られつつ

扇風機むなしき卓を吹き払ふ

走馬灯簷端の闇とたたかへり

恋すてふわが名は立ちぬ夏やつれ

夏痩をまをしあひけり家族風呂

噴水や芝青々とお茶の会

ふけわたる草木の風に端居かな

妻の来ておしろい匂ふ涼みかな

をとめらの棟は早寝や避暑の宿

蚊遣火の煙の末をながめけり

みづうみに月のさしたる蚊遣かな

女房とうきよばなしの蚊やりぐさ

蚊火げむり哀しきひとをかくしける

山の木のうすゆふばえやほととぎす

ほととぎす夕影深くなりにけり

花消えしぼうたんの葉やほととぎす

夕潮のみちわたりけり葭雀