和歌と俳句

日野草城

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遠き灯の一つ二つや月見草

砂を踏む音ばかりなり月見草

わかものの口笛娯し月見草

月見草月のけはひはありながら

停りゐる古きフオードや花うばら

干草に馭者寝て鞭を鳴らしけり

干草のおとろへみえて香に立ちぬ

古坪のおもてにの落花かな

栴檀の花のさかりの睡き昼

のうぜんや眞白き函の地震計

めざましく日のあたりゐる新樹かな

ばさばさと柿の若葉に風出たり

ほそぼそと降りいでにけり若楓

醜の男のうまいのはてず木下闇

たはむれのさくらんぼうのつぶてかな

逢はぬ宵さくらんぼうも飽きにけり