赤彦
柿の木の 若葉のうへに 紅き月 のぼりてさむき 夕となれり
八一
かきわかば もゆるにはべの しろすなに あさをあふるる みぞがはのみず
柿若葉重なりもして透くみどり 風生
千樫
上つ総 小糸のさくの 柿わか葉 こころあかるき 今日の旅かも
千樫
かがやかに 風わたるらし 行く道の 柿の若葉の うごきつつ見ゆ
アンテナにとまる鳥あり柿若葉 禅寺洞
ばさばさと柿の若葉に風出たり 草城
茂吉
はざま路に 入りつつくれば 若葉して 柿の諸木は 皆かたむけり
柿の若葉が見えるところで寝ころぶ 山頭火
柿若葉、あれはきつつきのめをと 山頭火
影は若葉で柿の若葉で 山頭火
寝床から柿の若葉のかがやく空を 山頭火
柿の梢のいつか芽ぶいて若葉して窓ちかく 山頭火
言ひのこす用の多さよ柿若葉 汀女
その日々の南隣の柿若葉 杞陽
柿若葉老い給ふとはいふまじく 汀女
子の着物たッぷり裁ちぬ柿若葉 真砂女
燈籠の一基いと古柿若葉 秋櫻子