和歌と俳句

葉桜

葉桜の昔忘れてすずみけり 千代女

葉桜や眼にたつものは蝶ばかり 千代女

葉桜や鳥の朝寝も目にたたず 千代女

葉櫻や碁氣になりゆく奈良の京 蕪村

葉ざくらのひと木淋しや堂の前 太祇


葉桜とよびかへられしさくら哉 子規

葉さくらや折残されて一茂り 子規

葉桜の上野は闇となりにけり 子規

葉桜はつまらぬものよ隅田川 子規

葉桜や昔の人と立咄 子規

葉櫻や嵐橋晴るる人の傘 蛇笏

小供の声をちこちに葉桜照れり 山頭火

葉桜の灯の遠い浅草の灯に立ち 碧梧桐

牧水
気まぐれの 途中下車して 温泉町 停車場出れば 葉ざくら暗し

牧水
湯の町の 葉ざくら暗き まがり坂 曲り下れば 渓川の見ゆ

葉桜に時の太鼓や午の雨 泊雲

利玄
葉ざくらよ 雨間の雫 地をうてり 花どき過ぎて かくはしづけき

葉桜にかな女が窓の開け放し みどり女

葉桜や橋の上なる停留所 爽雨

葉桜や蝙蝠空へおよぎけり 石鼎

葉桜のかげり水波もつるるか 鴻村

パン屋が出来た葉桜の午の風渡る 碧梧桐

葉桜に風衰へし夕べかな 石鼎

はざくらや翔ける雷蝶眞一文字 蛇笏